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【性教育お役立ちコラム】授業で使える!性教育クイズ7問
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みなさんこんにちは!性教育の授業では、知識を「一方的に聞くだけ」ではなかなか身につくのが難しい、と言うのが性教育実践の課題の1つですよね。 そこでおすすめなのが クイズ形式で楽しく学ぶ方法です!✨今回は実際の授業ですぐに使える7つのクイズと、その答えと解説を紹介します。 授業の導入としてもおすすめです! Q1. 「プライベートゾーン」とは何を指す? A. 自分だけの部屋 B. 他人に勝手に触られたくない体の部分 C. トイレ 答え:B 解説: 「プライベートゾーン」とは、性器や胸、口など、自分以外の人に勝手に触られたくない、見られたくない体の部分を指します。自分の体を守るための大事な考え方で、「イヤ」と言っていい権利があることを伝えましょう。 Q2. 「同意がある性行為」とはどんな状態? A. 相手が黙っていたらOK B. はっきりと「いいよ」と言っている C. どちらかが酔っていればOK 答え:B 解説: 性行為は、相手が 自分の意思ではっきりと「同意する」と言ったときだけ成立 します。沈黙や酔った状態は同意とは言えません。お互いに「Yes」と言い合える関係が大切です。 Q3. 日本で人工妊娠中絶ができる時期は、原則として妊娠何週まで? 答え:22週未満 解説: 母体保護法により、人工妊娠中絶は妊娠22週未満までと定められています。それ以降は母体の命に危険がある場合などを除き、原則できません。 Q4. 「LGBTQ+」の「T」は何を意味する? 答え:トランスジェンダー(Transgender) 解説: 「T」のトランスジェンダーは生まれたときに割り当てられた性別と、自分が感じる性別が一致しない人を指します。LGBTQ+は多様な性のあり方を尊重するための言葉であり、「+」には他にもさまざまな性のあり方が含まれています。 Q5. 次のうち、正しく使えば最も避妊効果が高い方法はどれ? A. コンドーム B. 経口避妊薬(ピル) C. 体外射精 D. 生理日を計算する方法 答え:B(経口避妊薬・ピル) 解説: 正しく服用すれば、ピルは99%以上の高い避妊効果があります。(ただし、100%ではありません。)コンドームは性感染症対策としても大切で、正しく使えば約98%の避妊効果がありますが、装着ミスや破損なども含めた一般的な使用では約85%に下がってしまいます。体外射精や生理日計算法は避妊効果が低いため、信頼できる方法ではありません。 Q6. 緊急避妊薬(アフターピル)は、性行為から何時間以内に飲むのが望ましい? A. 12時間以内 B. 24時間以内 C. 72時間以内 D. 1週間以内 答え:C(72時間以内) 解説: アフターピルは性行為から 72時間以内に服用することが推奨 されています。できるだけ早く飲むほど効果が高まります。これまで日本では医師の処方が必要でしたが、今後は処方箋がなくても薬局やドラッグストアで購入できる方針が了承されています。 Q7. 日本の法律では、何歳から性交同意が認められる?(2023年法改正以降) A. 13歳 B. 16歳 C. 18歳 D. 20歳 答え:16歳 解説: 2023年の刑法改正で、性交同意年齢(性交同意の最低年齢)が 13歳から16歳に引き上げ られました。16歳未満との性交は、同意があっても犯罪になります。 いかがでしたか?まだまだ皆さんのアイデア次第で、クイズは作れるはずです!今回紹介したクイズは、性教育の授業で「知識を楽しく確認する」ための入り口になります。 クイズや解説をきっかけに、子どもたちが「自分の体を大事にすること」「相手を尊重すること」を自然に学べるよう工夫してみましょう!
プレコンセプションケアとは?性教育授業での取り入れ方を紹介
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近年、医療や教育の分野で注目されている言葉に「プレコンセプションケア」があります。これは妊娠を希望する前の段階から、自分自身の体や心の健康を整えることを指し、世界保健機関(WHO)や厚生労働省も推進しています。 妊娠や出産について考えるのは大人になってからが多いかもしれませんが、実はプレコンセプションケアの考え方は中高生など若い世代から知っておくことが大切です。なぜなら、生活習慣や性に関する知識は、妊娠するかどうかに関係なく、早いうちから身につけることで将来の健康に大きく影響するからです。 今回は、プレコンセプションケアの基本と、性教育に携わる方が若者向けにどのように授業で伝えられるかについてご紹介します。 プレコンセプションケアが注目される理由 プレコンセプションケアの目的は、「健康な妊娠・出産の実現」だけではありません。将来的に妊娠を望むかどうかに関わらず、自分の体を大切にする生活習慣を身につけることに意味があります。 たとえば、以下のような生活習慣は、将来の妊娠だけでなく、生涯の健康にも直結します。 これらは大人だけでなく、中高生が日常生活で意識できるポイントでもあります。だからこそ、「プレコンセプションケア=妊活のための知識」ではなく、「生き方・健康の土台づくり」として伝えることが重要です。 性教育にプレコンセプションケアを取り入れる意義 従来の性教育は、「避妊」や「性感染症の予防」といったリスク回避に焦点が当たることが多くありました。もちろんそれも大切ですが、それに加えてプレコンセプションケアの観点を取り入れることで、より前向きな学びにつながります。 性教育にプレコンセプションケアを取り入れると、以下のようなメリットがあります。 ①「将来の自分」を考えるきっかけになる 「今の生活習慣が未来の健康につながる」と伝えることで、自分の体を大切にする意識を育てられます。 ②性と健康を切り離さず学べる 「性は恥ずかしいこと」「隠すべきこと」ではなく、体や心の健康の一部として理解できるようになります。 ③男女ともに関わるテーマとして伝えられる 妊娠は女性だけの問題ではありません。男性にとっても生活習慣や精子の健康は重要であることを伝えることで、性別に関係なく学べます。 授業でできるプレコンセプションケアの取り入れ方 では、実際に子どもたちへどう授業で伝えると良いのでしょうか。ここでは具体的な活動アイデアをご紹介します。 1. 「未来の自分」を描くワーク 生徒に「10年後の自分」をイメージしてもらい、どんな生活をしているかを書き出します。その中で「健康でいるために今からできること」を考えてもらうと、生活習慣と未来のつながりを実感しやすいです。 2. 生活習慣チェックシート 睡眠時間、食習慣、運動、スマホ使用時間などをセルフチェックするシートを配布し、「自分の生活を整えることが未来の健康につながる」ことを学びます。 3. 性感染症と妊娠の正しい知識を学ぶ 避妊法や性感染症の知識はプレコンセプションケアの基本です。正しい情報を知ることで「自分や相手を守ることは未来を守ること」と理解できます。 4. 男女一緒に学ぶ時間をつくる プレコンセプションケアは性別に関わらず学ぶ必要があるテーマです。共に学ぶことで「相手の立場を理解する」視点も育ちます。 5. 栄養・運動・メンタルを総合的に扱う 例えば、「将来の赤ちゃんの健康は母体の栄養状態に影響する」と伝えると同時に、「運動やストレス管理は男性の精子の質にも影響する」ことを紹介するなど、男女双方に具体的なイメージを持たせます。 若者に伝えたい大切なメッセージ プレコンセプションケアを性教育に取り入れるときに大切なのは、「妊娠を前提としない」ことです。 「結婚するかどうか」「子どもを持つかどうか」は個人の自由であり、多様な生き方があります。 しかし、どんな生き方を選んでも、自分の体と心を大切にすることは全員に共通するテーマです。 そのうえで「自分の未来の選択肢を広げるための知識」として、プレコンセプションケアを伝えることが、性教育の新しい価値になります。 未来を生きる子どもたちが「自分の体を大切にしながら、選択肢を広げていけるように」そのためにプレコンセプションケアの視点を取り入れた性教育は、これからますます重要になっていくでしょう。
性教育をアップデート!国際セクシュアリティ教育ガイダンスを学校でどう活かすか
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性教育とは、単に生理や性行為などについて学ぶだけでなく、個人の権利、尊厳、相互の関係に関する重要な価値観や考え方を深く学ぶことを目的としています。 近年、世界中で性教育が重要視される中、国際的なガイダンスがどのように形成され、実践されているのかに注目が集まっています。 国際セクシュアリティ教育ガイダンスとは 性に関する健康的な知識と社会的な価値観を育むために、ユネスコやWHOなどの国際機関が提供する指針です。 このガイダンスは、単に生理的な理解を超え、ジェンダー平等、性的多様性、同意の重要性、性暴力の予防など、さまざまな側面を含んでいます。 https://www.akashi.co.jp/book/b612128.html 8つのキーコンセプトとは 国際セクシュアリティ教育ガイダンスに含まれるキーコンセプトは次の通りです: 1. 人間関係(Relationships) 家族・友情・恋愛など多様な人間関係を通じて、尊重・共感・対等性を学びます。健全な関係を築くためのコミュニケーションや対処スキルも重視されます。 2. 価値観・人権・文化・セクシュアリティ(Values, Human Rights, Culture, and Sexuality) 性に関する多様な価値観や文化を尊重し、人権・自己決定・情報へのアクセスの大切さを学びます。文化や宗教が性に与える影響への理解も含まれます。 3. ジェンダーの理解(Understanding of Gender) 性自認・性的指向・ジェンダー・ロールの多様性を理解し、偏見や差別を超えて自己と他者を尊重する力を育みます。平等と包括性も中心テーマです。 4. 暴力と安全確保(Violence and Safety) 性暴力やハラスメントを含むあらゆる暴力に対処する知識と、自己や他者の安全を守るスキルを学びます。ネット上のリスクにも触れます。 5. 健康とウェルビーイングのためのスキル(Skills for Health and Well-Being) 心身の健康を保つための意思決定・ストレス対処・批判的思考などの実践的スキルを習得します。リスク回避や自己ケアの力も育てます。 6. 人間のからだと発達(Human Body and Development) 思春期や加齢に伴う身体・感情・社会的な変化について学び、自分の体とその発達を理解し、個人差を尊重することを目的とします。 7. セクシュアリティと性的行動(Sexuality and Sexual Behavior) 性的同意・避妊・性感染症予防などに関する情報を提供し、責任ある行動を選択できる力を育てます。 8. 性・生殖に関する健康(Sexual and Reproductive Health) 生理、妊娠、避妊、STIsなど性と生殖に関する健康の基本を学び、必要な医療や支援サービスにアクセスする力を育みます。 日本でガイダンスを活用する方法 国際セクシュアリティ教育ガイダンスを日本の小中高等学校で活用するためには、年齢に応じた適切な内容と方法で教育を実施することが求められています。 小学校:感情と身体の気づきを育てる時期 小学生は、自分の身体や気持ちについての「気づき」が芽生える時期です。 この段階では、性教育の“入り口”として、身体や感情の理解、そして他者への思いやりを学ぶことが大切です。 活用方法と具体例: 身体と性の健康:→ 「赤ちゃんはどこから来るの?」という素朴な疑問に答える授業で、男女の体の違いを伝える。絵本や図解を使ったワークが有効。→ 「プライベートゾーンとは?」というテーマで、身体を守る意識を育てる。 感情の表現と尊重:→ 「うれしい・悲しい・いやだ」などの感情を言葉で表す練習を通じて、自己表現と他者への共感を育む。→ 例えば「いやって言ってもいいんだよ」というロールプレイを取り入れる。 ジェンダー平等:→ 掃除当番や遊びの中で「男だから/女だから」という固定観念を取り払う取り組みを。→ 例:「男子も人形遊びしていい」「女子も虫とりが好きかも」などの発言を肯定する教師の姿勢が鍵。 中学校:変化と選択に直面する思春期 中学生は身体的にも心理的にも大きく変化する時期であり、自身の性に関する悩みや疑問も多くなる段階です。 ここでは知識の提供だけでなく、正しい判断力を育てる教育が求められます。 活用方法と具体例: 身体と性の健康:→ コンドームやピルなど避妊法、性感染症の基礎知識を授業で扱う(教科としては保健体育が中心)。→ 「性行為における責任って?」をテーマにしたグループワークや映像教材の活用。 ジェンダー平等と性的多様性:→ LGBTQ+の存在や権利について、実在のストーリーや動画を通じて学ぶ。→ 「自分の性に迷うってどういうこと?」という問いに対して、安心できる場で意見を共有する。 同意と関係性のスキル:→ 「同意とはどういうことか」やデートDVに関してペアワークで学ぶ。例:デートの誘いを断られたときの対応をロールプレイで体験。 高等学校:自立と社会性が問われる段階 高校生は、恋愛・セクシュアリティ・進学や就職といった将来を見据える時期。 より現実的で社会的な性の課題にも向き合う必要があります。 活用方法と具体例: 身体と性の健康:→ 避妊や性感染症に関する最新の医療情報を扱う。ピルの処方や検査の受け方などを具体的に紹介。→ 「性行為にYESと言えるのはどんなときか?」を自分の価値観に照らして考える個人ワーク。 ジェンダー平等と法的視点:→ 「性暴力はなぜ起こるのか?」を社会構造と関連づけて学ぶ。加害・被害・傍観の視点を持つワークも有効。→ 痴漢・リベンジポルノ・同意年齢など、身近な法的テーマをケーススタディで考える。 性的多様性の理解:→ トランスジェンダーやアセクシュアルなど、より多様な性のあり方を知る。→ 校内でのジェンダー配慮(制服・トイレ・呼称など)を生徒主体で考えるプロジェクト型学習も。 日本における性教育の現状とこれからの課題 日本でも性教育の大切さが少しずつ広まりつつありますが、まだ課題が多く残っています。学校で教えられているのは、生理や妊娠など“からだのしくみ”が中心で、恋愛や同意、感情の扱い方といった、日常に近いテーマにはあまり触れられていません。 LGBTQ+など性の多様性についての教育もまだ足りないのも現状です。「自分はみんなと違うかも」と感じる子が、安心して過ごせる場が少ないことも問題です。 しかし、最近ではLGBTQ+の授業や、専門家による性教育の出前授業など、学校において新しい取り組みも広がってきました。性教育が「恥ずかしいもの」ではなく、「自分を大切にする学び」として受け入れられる時代が近づいています。...
「精通」や「初潮」って誰が決めたの? ― 性にまつわる日本語の意外な語源を探る
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私たちは、性について話すとき、どこか「口にしづらい」空気を感じることがあります。それは内容そのものの問題というよりも、使う言葉に重々しさや照れくささが染みついているからかもしれません。 たとえば「初潮(しょちょう)」や「精通(せいつう)」という言葉。どちらも思春期の体の変化を表すものですが、日常会話で自然に出てくることはまずありませんよね。「難しそう」「古めかしい」「なんか学校ぽい」といったイメージを持つ人も多いでしょう。 今回は、そんな性に関する言葉の“語源”に注目して、言葉が持つ歴史やニュアンスを紐解いてみます。 「初潮」:なぜ“潮”なのか? 「初潮」は、女性が初めて月経を迎えることを意味する言葉。では、なぜ「潮」なのでしょうか? 「潮」という言葉は、海の満ち引きと月のリズムを連想させるため、昔から月経と結びつけて考えられてきました。英語でも「period(周期)」や「menstruation(月の変化)」など、月や自然のリズムに基づく表現が多く見られます。 また、日本では古くから月経は「けがれ」とされる一方で、「女性が神聖な力を持つ時期」と考えられる場面もあり、宗教的・文化的な二面性がありました。「潮」というやわらかい語感は、その微妙なニュアンスを包み込むための、いわば“やさしいオブラート”だったのかもしれません。 「精通」:なぜ“精”を“通る”?宗教と漢語の影 一方、男性の思春期の変化を表す「精通」。これは、中国古典医学や儒教的な影響を受けた言葉です。 「精」は「精子」を含む生命エネルギー、「通」は“流れが通る”という意味。つまり、生殖能力が発現することを、まるで“気の通り道”のように表現した言葉なのです。 実はこの言葉、「性を語ることをタブー視する時代」に、医学や宗教という“堅い皮”でコーティングされた表現だったとも言えます。だからこそ、現代の子どもたちにはちょっと遠くて難解に感じられるのです。 「避妊」:実は明治以降の近代語? 意外かもしれませんが、「避妊」という言葉は、明治時代以降に西洋医学の流入とともに登場した比較的新しい表現です。 それまでは「間引き」や「堕胎」といった、もっと過酷で直接的な選択肢が語られる時代が続いていました。 この言葉の登場には、以下のような背景があります: 人間の自由や健康の保護 社会や家族の在り方の変化 性と身体の自己決定権の意識 女性の権利意識の高まり 医療技術の発達 国家の人口政策 つまり「避妊」は、単なる医療用語ではなく、近代社会の価値観や思想を反映した言葉だといえるでしょう。 セイシルでの避妊に関する記事はこちら 「セルフプレジャー」:自分を大切にするという考え方 最近では、特に女性の性教育やフェムテックの分野で、「マスターベーション」という言葉をもっと中立的・肯定的に表現しようという動きが広がっています。そこで登場したのが「セルフプレジャー(self-pleasure)」という表現。 この言葉は、「自己愛」「自己肯定」「快感は自分自身でも育てていいもの」というメッセージを含んでおり、“行為”よりも“自分を大切にする態度”としての性に焦点を当てています。 たとえば、メンタルケアの現場でも、セルフプレジャーを「ストレス解消」「身体の理解」「自己決定権の一部」として積極的に扱うケースも増えています。セイシルでもストレスとセルフプレジャーの関係について紹介しています。詳しくはこちら 「セルフプレジャー」や「自分の体に触れることも大切な学び」という前向きな語り方は、自分を大切にする感覚を育む入り口にもなります。 「なんとなく汚い」「口にしたくない」という気持ちを乗り越えるには、まずその言葉に込められた“背景”を知ることから始めるのが大切ですね。 言葉が変われば、性教育も変わる 言葉は時代を映す鏡です。そして、私たちが“どう伝えるか”を考えたとき、最初に向き合うのも言葉です。 例えば男性器にしても「ペニス」「陰茎」「おちんちん」「デリケートゾーン」など、親・学校・メディアごとに呼び方はバラバラ。それぞれの言葉に、時代や意識の違いが表れているのです。 ことばを“開く”ことから始めよう 性教育において最初の壁は、知識の不足ではなく、言葉の閉鎖性にあるのかもしれません。「なんとなく言いにくい」「恥ずかしい」と感じてしまうのは、使う言葉が私たちにそう感じさせているからです。 だからこそ「なんでこの言葉を使うんだろう?」と一度立ち止まってみることが、性教育を“もっと開かれたもの”に変える第一歩になります。 性を語るときこそ、言葉に敏感でいたい。そんな視点を、今日から少しだけ持ってみませんか?
性教育の歴史を紹介!日本の今後の課題とは?
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現代は、ネットやSNS、Youtubeなどさまざまなところで性に関する情報が得られます。 調べれば情報にたどり着けるのはとても便利な反面、誤った情報を取り入れてトラブルに遭う危険性もあります。 日本の学校の「性教育」は、正しい知識を身に着けるために十分と言えるでしょうか。 今回は「性教育」に関する歴史を紹介します。歴史を知ることで、さらに性教育の重要性を感じていただければ嬉しいです。 日本の性教育はいつから始まった? 日本でも古くから性に関する話は親から子、年長者から年少者など人から人へ伝えられてきました。 人々は、そのように人から聞いた内容をもとに、セックス、妊娠・出産、避妊や中絶に関する知識を身に着けてきたと考えられます。 また、江戸時代では、性交場面を描いている「春画」も性に関する情報を得るものの一つだったようです。 しかし、学校で教育として教える「性教育」といったものはなく、本格的に性教育が始まったのは近年のことでした。 1992年「性教育元年」小学生から性教育をするように 1992年は「性教育元年」とも呼ばれ、小学校からの性教育が本格的に始まります。小学校や中学校での性教育に使用する授業書も発行されました。 同年、厚生労働省所管の財団法人母子衛生研究会が「ラブ&ボディBOOK」を作成・発行しました。中学生を対象に作られており、無償配布をした性教育用教材の一つです。 平成29年 平塚保健福祉事務所秦野センターが保管している性教育資料・媒体より引用 ラブ&ボディBOOKは、コンドームの装着方法、性的同意、性被害に関しても記載されていて、当時の日本では非常に画期的な内容でした。 しかし、ピルについては長所のみの記載で、服用によって悪影響が出る可能性については言及していなかったことや、教材の内容に対し「未成年にピルを勧め、フリーセックスをあおっている」といった批判がでたことによって、2002年に絶版し回収されています。 現在、この教材を身近に見ることはできません。 2003年「性教育バッシング」七生養護学校事件が起きる 1992年から発展し始めた性教育ですが、2003年には「性教育バッシング」が起こります。 東京都立七生養護学校(現・七生特別支援学校)が知的障害を持つ生徒に行っていた性教育を都議会議員が非難し、教員が処分されるという事件が起こりました。 自分の身体を正しく守るために必要な「こころとからだの授業」が非難される 七生養護学校では、思春期を迎えて、自分の体や心の変化に戸惑う生徒に向けて、自分の身体を正しく守り、性に関するトラブルを防ぐために「こころとからだの授業」を実施していました。 生徒にわかりやすく伝えるために、月経や精通、避妊方法や性器の洗い方などについて、歌や人形教材キットを活用して授業を行っていました。 最近では、七生養護学校の子どもたちに愛された歌が、みんなで楽しめる絵本として出版されています。 〈参考〉絵本 からだうた しかし、都議会議員はこのような授業を「過激な性教育」と非難し、都の教育員会が「不適正な性教育」「不適正な学級編成・服務」といった理由で、七生養護学校の校長の降格をはじめ116人の異例の処分を強行しました。 「性教育の手引き」が改訂され、性教育バッシングが続いた 事件の翌年2004年には、都の教育委員会が「性教育の手引き」を改訂。 小学生から高校生までの学習指導要領で、性交渉に関する内容を扱わないとし、「性教育バッシング」が続きました。 七生養護学校へのバッシングを行った都議会議員はその後、2013 年の最高裁判決で原告となった七生養護学校の教員に賠償金を支払うことが確定しています。 「こころとからだの学習」裁判支援サイトより引用 裁判では「学習指導要領は、おおよその教育内容を定めた大綱的基準であり、記載されていない内容を子どもたちに教えることが、ただちに違法とはならない」とされました。 2004年以降で「性教育の手引き」は未だに改訂されていませんが、2013年の最高裁判決等を利用して、「性教育はただちに違法とはならない」ことを念頭に、実践の幅を広げていくことが重要だといえるでしょう。 現代の「性教育」について 性教育バッシングから約20年・・・。 この期間は「性教育のネグレクト」「失われた20年」とも言われています。 さて、20年が経過した今、性教育はどのように変わっているのでしょうか。 2021年「生命の安全教育」がスタート 2021年には政府が策定した「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」をもとに「生命の安全教育」への取り組みが始まりました。 生命の安全教育は、全国の学校で実施が進められ、幼児期から大学、一般、特別支援教育までが主な対象となっています。 性暴力について学び、自分や相手、他者を尊重する態度などを身に付けることを目指します。 詳しい内容は下記で紹介しているのでぜひ、あわせてご覧ください。 〈参考〉【性教育お役立ちコラム】生命(いのち)の安全教育とは?子どもを性犯罪・性暴力から守るために今できること 「フェムテック商品」「性教育書籍」も増加中 日本において、「性」への関心が高まってきています。 2021年の流行語大賞にもノミネートされた「フェムテック」は、女性の健康課題をテクノロジーで解決へ導く製品やサービスを表します。 生理用品も多様化し、吸水ショーツ、月経カップなど、生理中のナプキンやタンポンを使用する以外の選択肢も増えています。 また、こうした世の中の動きと合わせて、性に関するトラブルに対して保護者の関心も高まったことから「性教育書籍」も多く出版されています。 セイシルでも、10代に向けた性教育バイブル「セイシル本」を発売中です。ぜひこちらもご覧ください。 〈参考〉セイシル 知ろう、話そう、性のモヤモヤ 10代のための性教育バイブル 性犯罪に関する法律が改正・新設 2023年7月には、不同意性交等罪・不同意わいせつ罪が改正、施行されました。 性交同意年齢は13歳から16歳となり、性犯罪の公訴時効期間は5年間の延長となっています。 その他にも、性的姿態等撮影罪などの法律が新設されるなど性犯罪に関する法律の改正・新設がありました。 〈参考〉性犯罪関係の法改正等 Q&A 「はどめ規定」がある限り性行為は教えられない? ここまで日本の性教育の歴史を紹介してきましたが、実は日本の学習指導要領には、指導範囲を定める「はどめ規定」と呼ばれるものがあります。 性教育におけるはどめ規定とは、例えば中学校の保健の学習指導要領で「受精・妊娠までを取り扱うものとし、妊娠の経過は取り扱わないものとする」とする一文のことです。 一律に指導する内容としては取り扱わないが、状況に応じて個別に指導することは可能とされています。 しかし、2023年10月30日、西日本新聞加盟の日本世論調査会がまとめた「子どもの安全」を巡る全国郵送世論調査によると、「はどめ規定」をなくすべきだとの回答は88%に上ったとのことでした。 なくすべきだとする理由は「正しい知識を得られるから」が44%と最多で、性に関して正しい知識を持つことによって、自分や他者の身を守れると考えている方が増えていることがわかります。 〈参考〉妊娠の経過「学校で教えるべき」88% 性教育の開始時期「小学校高学年から」52% 今、求められる学校性教育の課題 日本の学校性教育は、性教育バッシングを経て、再び動き出している段階です。 今求められる性教育の課題としては、「はどめ規定」の撤廃や「性教育の手引き」の改訂など、国際標準の包括的性教育(国際セクシュアリティ教育ガイダンス)をもとに学習指導要領を見直し、整備することでしょう。 そのためには、管理職を含む教職員、保護者、地域の一般の方も包括的性教育について知り、学校での性教育への理解を深めてもらうことが大切です。 学校性教育の課題を解決するためには 例えば、セイシルでは性教育指導に関するオンラインセミナーを実施しています。 〈参考〉セイシルオンラインセミナー「どう教える?デートDV」開催のご報告 このようなセミナーを活用して、学校全体、保護者の方にも参加いただきながら性教育について検討するのも良いかもしれません。(実際に、とある高校の教員研修にご活用いただきました。) また、性教育を実際に実施してみて、授業を受ける生徒本人から感想や意見をもらうことで、性教育を推進する背中を押してもらうことができます。 高校生に向けた性教育の授業の様子は、下記にて紹介しています。 〈参考〉「友達関係も当てはまるの?」高校生がデートDVチェッカーを使用した感想をご紹介 性教育を通じて、若者たちは自分の身体を正しく守る方法を知ることができます。 ぜひwithセイシルの記事や教材も性教育に役立てていただけたら幸いです。