【出前授業報告】大阪府内の中学3年生向けの出前授業に行きました!

【出前授業報告】大阪府内の中学3年生向けの出前授業に行きました!

投稿者 : on

先日、大阪府内の中学校で、中学3年生を対象とした性教育の出前授業をセイシルスタッフが行いました。

テーマは「あなたと私の心と体を大切にするために」
デートDVや性的同意といった内容を通して、「自分と相手を大切にする関係性」について考える授業です。

導入:人間関係の価値観は人それぞれ

授業のはじめは、「人間関係における価値観の違い」をテーマにしたワークからスタートしました。
「自分が誰かと一緒にいたいと思うとき、どんな相手とどんな関係でいることが大切だと思いますか?」という問いをきっかけに、生徒たちは一人ひとり、自分の考えをじっくりと振り返ります。

考える中で、12個の価値観の項目から「自分が大切にしたいもの」を選び、周囲の人と話し合う時間を設けました。
対話を通して、人によって感じ方や大切にするものが異なることを実感するきっかけになったのではないでしょうか。

その後、もしお互いの価値観が違うカップルがいたら、自分が友達ならどのようなアドバイスができるかについて考えました。

大事にする価値観が異なるカップルの例スライド

 

デートDVとは?「デートDVチェッカー」で自分ごとに

本題のデートDV(若いカップル間での暴力)についての学びでは、生徒一人ひとりに「デートDVチェッカー」を配布しました。

デートDVチェッカーは、目盛りに照らし合わせて、自分の身や友達の身にデートDVが起きているかどうかチェックする道具です。 

自分では今まで気づいていなかった被害や加害に気づきやすくなります。
注意が必要とされる黄色の項目が赤色に感じる人もいれば、至急相談が必要な赤色の項目を危険だと感じない人もいて、さらに導入で考えたような価値観の違いを生徒たちは感じてくれたと思います。

恋は盲目という言葉があるほどに、恋愛は周りの声が聞こえなくなったり、冷静な判断ができなくなってしまうことがあります。
被害や加害にいち早く気づくためにも、1つの目安として紹介しました。

授業の中盤では、先生同士でのロールプレイ(寸劇)を交えて解説しました。

最後にも生徒たちの感想をまとめて紹介していますが、大注目の中の寸劇でした。

先生方の協力のおかげで、より記憶に残る学びになったと思います。
束縛や無視、SNSの監視など、「暴力」と聞くと殴る・蹴るを想像しがちですが、実際には言葉や態度でも相手を傷つけることがあると知ってもらう機会にもなりました。

性的同意 ― 相手の「YES」を大切にすること

次に扱ったのは「性的同意」です。
性的な場面に限らず、日常の中でも「相手がどう思っているかを確かめること」の大切さを伝えました。

たとえば、次のような場合は性的同意がとれているとは言えません。

相手の気持ちを確かめずに、「これは相手もしたがっている」「今日はいいってことだ!」
と勝手に思い込むのは非常に危険です。

大切なのは、「相手の気持ちを確認すること」
どんな関係でも、同意の確認があってこそ安心できる関係が築けます。

事前質問からのQ&Aコーナー

最後は、授業前にアンケートで集めた匿名の質問に答えるQ&Aコーナー。
生徒たちのリアルな悩みに一つずつ丁寧に答えました。

他にも、「射精って絶対しないといけないものなのか」「生理と性行為の関係性について教えて欲しい」「生理痛もひどいし…量が多くて貧血になりやすい。そのときどうすればいい?」など、多くの質問を生徒たちからもらい、授業の中で1つずつ説明しました。

生徒たちのアンケート結果

授業後に実施したアンケートでは、多くの生徒から印象的なコメントが寄せられました。

🔹デートDVチェッカーの感想

 ・家族や友達にも、危険な状況にならないよう気をつけようと思ったし、人と人との感覚が違うと思った。

定規に使えるのがとてもいいと思った。

・今まで束縛や支配の関係について「彼氏(推し)にされたら嬉しいからOK」と考えていたのでアニメ(妄想)と現実の区別をちゃんと付けないとと思った。

・好きだからこそ感覚が分からなくなったりすることがあっても、チェック表をみて自分の状況を確かめるきっかけになるからいいものだなと思った。

・赤いゾーンになってる友達がおったら助けてあげたいと思った。

・赤色や黄色の項目の中にも、「これってダメなんや、、」と思う項目がいくつかあった。人によって価値観は大きく異なるのだなあと思った。

 

🔹ロールプレイ(先生による寸劇)の感想

 ・人間って、イライラしている時はどうしても自分本位でしか考えられなくなってしまうから、彼氏さんのように相手を思いやりながら自分の気持ちを伝えられるようになりたいと思った。

・男女間のやり取りだけではなく同性の友達同士においても大切なことだと思った。

・自分は彼氏が居ないのでそういう経験はないけど、友達などがそういう事に巻き込まれていたりしたら助けてあげたいし、そういう関係にならない為にも分で自分を守れるようになりたいです。

・先生の演技がうまかった。こんな人にはならないようにしようと思った。

・こういうことが見てないところで起こってそうだから、それをみんなで再認識できたのが良かったと思う。

・言葉使いがいつも悪かったので、今回の寸劇では言葉使いに気をつけようと思いました。

 

🔹そのほか自由回答より

 ・自分は質問してないけど気になることがわかった。

・質問に回答してくださりありがとうございました。そして、わかりやすい講演や、画像がとても助かりました。

・普段は恥ずかしくて親や友人に聞かないことも詳しく学ぶ事ができて良かったです。

・私は生理が結構重く、痛さも結構あったり頭痛や眠気などの症状が出るから、1人で悩んでいたけど、セイシルの授業を受けて、少し安心した。

・性について知る機会があまりないのでいろんなことを知れました。ありがとうございました。

・デートDVのことを詳しく知ることができたし、先生たちの会話でそういうことがDVなの!?と疑問に思いつつも、傷つく人がいるんだなと講演後には理解でき、とてもためになりました。

・イラストが多くて、スライドが見やすかったし、デートdvとかの用語もわかりやすく説明されていて、良かったと思った。先生による寸劇も言葉で伝えるよりも実際に状況を見て学ぶことができたから、わかりやすかったし、聞きやすい雰囲気になっていたと思った。

・無駄に回りくどい言い回しをせず、ストレートに話してくれてよかった。

・一つ一つの課題について詳しくまとめられていたので話を聞きやすかった。恥ずかしいと思う事もあったけどとても良い機会だった。

 

まとめ:「知ること」が自分と誰かを守る力に

授業の後には、授業を聞いてくださった先生方(担任の先生、養護教諭の先生、校長先生)と振り返りの会を行いました。
「みんな想像以上に話を聞いていた」との感想がありました。

性教育は、単に「性の知識」を教えるだけのものではありません。
人との関わり方を学ぶ「生き方教育」であり、他者への思いやりを育てる「人権教育」でもあると思います。

生徒たちの率直な声から、私たちセイシルスタッフも多くの気づきを得ることができました。
これからも、こうした出前授業を通して、子どもたちの性の健康を守る活動を続けていきたいと思います。


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