【デートDVチェッカー配布レポ】 @東京都のとある高校

【デートDVチェッカー配布レポ】 @東京都のとある高校

投稿者 : on

7月に都立高校2年生対象の保健講話で、withセイシルの「デートDVチェッカー」が配布されました。また、保健室内で高校1年生と3年生の数名に配布し、感想を聞いていただきました。

配布に携わった養護教諭の先生に、詳しくお話を伺いました。

 

保健講話では、生徒たちはどのような話を聞いたのですか?

保健講話では講師の先生から、デートDVと関わりのある友達を持った際には、

「デートDVでは、周りは別れた方がいい、と冷静にアドバイスするが、ときに正論は人を孤独にする。別れた方がいいのは百も承知で、別れられない人もいる。正論を伝えるより、友達としてのつながりを絶たないことが重要で、あるとき本人が「あっ別れよう」と思えたときに一緒に行動することが絆(ほだし)として必要だ」

という話をしていただきました。生徒たちもとても納得していました。

 

保健室での生徒たちの関わりに繋がる話はありましたか?

保健室で生徒と話をしていても、正論を伝えるだけではいけないということは本当に感じることです。

本人たちがあるとき「この関係のままじゃいけない」と思えたときに、養護教諭として、そばにいられる関係性を大切にしようと毎回感じています。講話を聴いて、生徒とのつながりを更に大切にしようと思いました。

チェッカーを受け取った生徒の様子はどうでしたか?

高校2年生は、この講話後に配布したこともあり、素直にデートDVの存在を受け止めていたように思います。

高校2年生からは、デートDVのみについての感想を集めることは困難でしたが、昼休みに毎日保健室に来る高校1年生の集団(10名ほど)にも渡してみると、まだお付き合いの経験が少ない年代で、そういうこともあるのね、という不思議そうな表情でチェッカーを見ていました。


不思議というのは、生徒たちは「デートDV」にどのような疑問を抱いたのでしょうか?

実際に「どうしてデートDVをするような人と付き合うことになるんだろうねー」という発言をしていたので、イメージのつかめなさがあるようでした。

この高校1年生集団とはまた違う意見を、高校3年生はくれましたよ。男子2人女子2人でチェッカーを見て感じたことをディスカッションしてもらいました。かなりわぁわぁ盛り上がっていました。


ぜひ「デートDVチェッカー」のディスカッションの様子を詳しく教えてください! 

【助けを求めて身を守って】の部分で

・キレるの定義がわからない

・キレる、否定することはよくある

キレるにもいろいろあって、嫌な事されたらキレるのは普通のことだし、高校生にとってキレる=イヤだと自己表現するぐらいのニュアンスなので、これが【助けを求めて身を守って】にあるのが違和感があるようでした。

補足として私から、「キレて相手を思い通りにしようとするのは、”キレさせないようにしようと気を使わせる”、”キレることで相手を思い通りにコントロールしようとする”という意味も含まれているんだよ」と伝えたら、「それはダメだね」と言っていました。


なるほど。いろんな例や説明があったほうが、ただ配布するよりもかなり効果的なことがわかりますね。

あとは「あなたのせいで自殺する」にも繋がりますが「メンヘラ系も入れた方がいい」という意見もありました。

生徒の中には「ネガティブになる等、自分でメンタル保てない人と付き合ったことがあって大変だった。」「夜中に電話がかかってきて、泣いていたり、最初は心配するけど、だんだん 『またか』ってなってくる。」とのことでした。



お付き合いでの苦労は計り知れないですね・・・。それも束縛に繋がる可能性が大いにあると思います。

その他に、本人たちは自覚(?)があって付き合っているので、ラブラブなときはこれを見ても「だとしても、そんなのわたしたち2人には関係ない」と思ってしまうのではないかという意見もありました。

自分が健康な時はデートDVチェッカーを見ても他人事に感じてしまうのかもしれません。しかし、「これを見て、ぼくたちのことだと思いました。」と打ち明ける男子生徒がいました。


チェッカーを見て、デートDVに気づいた男子生徒はどのような変化がありそうでしょうか?

「このチェッカーは決して彼女には見せられません。」とのこと・・・・。「私がデートDVしてるって言うの!」と彼女に責められるのが怖いみたいです。

ただ、一番上にある「あなたがしたいことを大切にする、あなたの友達や家族も大切にする」という当たり前のことが、当たり前ではない今の2人の状況がおかしいと改めて気が付くことができたみたいなので、「これを見て、相手にもぼくが大切に思っているものを大切にしてほしいと感じました」と言っていました。


そうでしたか。その男子生徒のお付き合いが少しでも改善されると嬉しいです。お付き合いの経験が少ない生徒の反応はどうでしょうか? 

もう1人の男子生徒は「俺は病的でいいからグワーッって愛されてみたいから、これ見ても羨ましいとしか思えない。」と言っていたので、みんなから「痛い目みたらわかるよ、そんなの経験してないから言えるんだよ」と言われていました。


なるほど。痛い目にあわないとわからないというのも性教育の課題かもしれませんね。女子生徒の感想はいかがでしたか? 

1年ほど病的な付き合い方をしていた彼氏と別れて、新しい彼氏と健全なお付き合いが始まったばかりの女子生徒は「これを見たら過去のわたしって感じで、今までデートDVチェッカーにあてはまる恋愛は、今会わなきゃ一生会えないみたいな感じだったけど、今は朝ドラみたいな恋愛で爽やかでとっても楽なの。」と言っていました。


独特な表現をされますね!過去の自分に戻らないようなサポートが周りにも必要ですね。

本当にそうです。結局、愛が足りない、もっと愛されたいと、病的な彼氏と復縁しそうな勢いなので、見守っている感じです。

もう1人の女子生徒は、「何でもいいから彼氏がほしい。わたしもメンタル不安定だから、彼氏にめんどくさいやつ、とか思われたらいやだな。」とのことでした。


高校生のリアルな恋愛事情を共有してくださり、ありがとうございました!

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