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【出前授業報告】大阪工芸高校(定時制)にて出前授業を実施しました!

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【出前授業報告】大阪工芸高校(定時制)にて出前授業を実施しました!

先日、大阪府立工芸高校(定時制)の生徒のみなさんに向けて、「性感染症予防と予期しない妊娠について」をテーマに出前授業を実施しました。 今回の授業では、妊娠や性感染症の知識だけでなく、自分と相手を大切にする人間関係や性的同意、将来の健康まで幅広く取り上げました。 自分と相手を大切にする関係について考える まずは、「誰かと一緒にいたいと思うとき、相手とどんな関係でいることが大事だと思う?」という問いからスタート。 人によって大切にしたいことや心地よい距離感は異なることを確認しながら、バウンダリー(境界線)について紹介しました。 バウンダリーは、「自分を守るための“ここまではOK”のライン」。触られていい・イヤ、聞かれていい・イヤ、会いたい・会いたくないなど、自分にも相手にもそれぞれの境界線があり、その日の気持ちや状況によって変わることもあります。 さらに、デートDVチェッカーも活用しながら、デートDVや性的同意について学びました。性的な行為だけでなく、手をつなぐ、ハグやキスをする、身体に触れる、性的な話をするといった場面でも、相手の意思を確認することが大切です。 避妊・妊娠について正しい知識を 続いて、避妊について伝えました。 リズム法や膣外射精は確実な避妊方法ではないことを確認したうえで、コンドームの特徴や正しい使い方、低用量ピル、緊急避妊ピル(アフターピル)について紹介しました。 コンドームについては、セイシルに実際に寄せられた10代の「モヤモヤ」も紹介。途中からコンドームをつけた場合や、破れてしまった場合など、若者が実際に不安を感じやすいケースをもとに考えました。 また、予期せぬ妊娠が心配なときには、信頼できる大人に早めに相談することや、妊娠検査薬を使うタイミングについても伝えました。 性感染症と検査・相談先について 性感染症は、性器を介した性交だけでなく、キスやオーラルセックスなどでも感染する可能性があることを説明しました。 さらに、大阪市内で受けられる性感染症検査や、実際の検査の流れも紹介。「検査を受ける」という選択肢を具体的にイメージできるようにしました。 授業の最後には、妊娠・避妊、性感染症、心や人間関係など、今の性に関する選択は、将来の健康や人間関係にもつながっていくことを確認しました。 授業の最後には、事前アンケートで回収した生徒たちからの質問に答えました。 生徒のみなさんからの感想(掲載許可あり) 授業後のアンケートでの感想の一部を共有します。 性行為をしたことないから、もしそうなったときどうしようって思ってたけど、なんとなくわかった。特にコンドームについて知れてよ かった。 低用量ピルが避妊だけでなく、生理痛などを緩和させる効果があることを改めて知った。 性に関する事を知る機会があまり無く、こういった場で不安に思いやすい事を分かりやすく教えてくださるのはとても貴重で有難いなと感じました。 きちんと性感染症の感染経緯や避妊率など不安を感じやすい事をわかりやすく、教えてくれていました。また質問に対してわかりやすく答えてくださっていた 疑問に思っていたことや、普段知る機会がないこと、あまり人に聞けないことなどを詳細に知れたことで確実に自分の人生にプラスになった講演だった 知らないことを沢山知れた、知識が少なかった事自体も知れた 低用量ピルやアフターピルの違いについてなどが、とてもわかりやすかった   大阪府立工芸高校のみなさん、ありがとうございました!

みんなどう使ってる?「セイシル」教材・実践レポート⭐️

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みんなどう使ってる?「セイシル」教材・実践レポート⭐️

withセイシルでは、教材を活用した性教育の実践事例を募集しました。 今回は、寄せられた3つの実践をご紹介します。   1.デートDVについて考えたあとに「デートDVチェッカー」を活用 静岡の薬剤師・ユースクリニック代表の方は、ユースクリニックで中学生、大学生、大人が4〜6人のグループになり、デートDVについて考えるグループワークを実施。 その後、「可視化したものがあるよ」とデートDVチェッカーを配布しました。 参加者からは、「赤、黄色、緑と色分けで見てわかりやすい」「裏に相談先があるのがいい」という声があがったそうです。 また、「小学生向けのカードもつくってほしい」という要望も寄せられました。   2.少年院で全8回の包括的性教育に活用 少年院の矯正医官(精神科医)の方は、包括的性教育が不可欠と考え、昨年度から性教育を導入しています。 2級生の全3寮で、1寮ずつ、1回1時間・全8回の授業を実施。セイシル本や女性の月経周期の図、性感染症のキャッチフレーズなどを活用しています。 子どもたちからは、 「もっと早く知っていれば人生変わっていたかもしれない」「女性に優しくしようと思う」「性は汚いものではなく、本来は美しいものだとわかった」「これからはコンドームを必ず使います」 などの感想が寄せられているそうです。   3.セイシルのイラストをPowerPointの視覚資料に 子育て支援センター、公民館、専門学校などで活動する性教育講師の方は、セイシルのイラストをPowerPointの視覚資料に活用しています。 使用しているのは、生理の仕組み、妊娠する仕組み、性のあり方に関わる「性の4要素」、「ふれあいの12段階」など。 生理や妊娠の仕組みから、ジェンダーや性的同意まで、わかりやすく説明することができたとのことです。 また、「生理の仕組みと同様に、射精の仕組みについてのイラストがあると助かる。勃起から説明できる内容だとうれしい」という要望もいただきました。   それぞれの現場に合った使い方を 今回の3つの実践では、グループワーク後の配布資料として使う、継続的な性教育の教材として使う、自分のPowerPoint資料に取り入れるなど、それぞれの現場に合わせた活用がされていました。 新教材のリクエストもありがとうございます!参考にして、検討させていただきます。 同じ教材でも、対象や伝えたい内容によって使い方はさまざまです。引き続き、皆さんの「こんなふうに使っています」も、ぜひ教えてください。 ⬇︎実践事例を投稿する⭐️(約5分) https://forms.gle/PUzhTL5DtJZ6Vbsw9 実践例を共有してくださった先生方、ありがとうございました!

【出前授業報告】藤井寺高校にて出前授業を実施しました!

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【出前授業報告】藤井寺高校にて出前授業を実施しました!

大阪府立藤井寺高校で、高校1年生を対象に性教育の出前授業を実施しました。 中学校で受けてきた性教育には学校や担当の先生ごとに差があります。 だからこそ、今回は高校生活が始まった1年生のこのタイミングで、全員が同じ性の知識のスタートラインに立てるような授業を目指しました。 「相手とどんな関係でいたい?」から始まる授業 授業の最初は、「誰かと一緒にいたいと思う時、どんな関係でいることが大切だと思いますか?」という問いからスタートしました。 生徒たちは「相談できる関係」「適度な距離感」「スキンシップ」「束縛度合い」など、それぞれが大切だと思う項目を考えます。 その後、「価値観が違う2人」の事例を紹介し、「付き合っているから同じ考えとは限らない」ということを一緒に考えました。 そこで登場するのが「バウンダリー(境界線)」です。 バウンダリーとは、「自分を守るための、ここまではOKというライン」のこと。 大切なのは、自分のバウンダリーを知ること、そして相手のバウンダリーも尊重することです。 バウンダリーを超えた先にある「デートDV」 授業では、「バウンダリーを無視する関係」がデートDVにつながることを紹介しました。 そこで、生徒一人ひとりに「デートDVチェッカー」を配布し、自分自身や友人の関係を振り返る時間を設けました。 単に知識として学ぶだけでなく、「自分の身近な人間関係にも関係すること」として受け止めてもらえたことが印象的でした。 生徒からのデートDVチェッカーについての感想を紹介します。 ・黄色からはだめという感性をもっていてよかったです ・デートに行くときデートDVチェッカーをもっていこうと思った。 ・中学の時にも同じものを配られたことがあり、改めて見ると恋愛をするにあたって相手の価値観は大事にすべきだと思いました。 ・機嫌が悪くなったら無視をするも警戒領域なのがびっくりした ・自分もそれらしきことを過去にされたのでは?と思うことがあった。 ・相手と対等な関係でいることが大切なのがわかった   SNSでも「見えない暴力」は起こる 今回はSNSの使い方にも時間を使いました。 デートDVは対面だけでなく、SNS上でも起こります。 位置情報の共有、返信を強要すること、パスワードを教えるよう求めること、写真を送らせることなど、一見「恋人だから普通」と思われがちな行動も、相手の自由を奪う行為になり得ます。 さらに、SNSで知らない人からDMが届く事例を取り上げ、「グルーミング」という言葉も紹介しました。 「返信しなくていい」「スクリーンショットを残して大人に相談する」といった実践的な対処法も伝えました。 「性的同意」は恋愛だけの話ではない 授業の最後には、性的同意とプライベートゾーンについて取り上げました。 性的同意とは、「性的な行為をしたいと思った側が、相手に確認し、相手が自由な意思で同意すること」です。 キスやハグだけでなく、体に触れることや性的な話題も含まれます。 また、プライベートゾーンについては、「自分だけが触れてよい体の大切な部分」であり、「自分の体については自分で決めていい」というメッセージを伝えました。 バウンダリー、デートDV、SNS、性的同意、プライベートゾーン。 一つひとつ別のテーマに見えますが、すべてに共通するのは「自分も相手も尊重すること」であることをまとめました。 アンケート結果から見えたこと 授業後のアンケートでは、「詳しくて分かりやすかった」「これから役立つ」「知らないことを知ることができた」という回答が多く寄せられました。 一方で、「中学校でも学んだ内容だった」という声も一定数ありました。 復習にはなったという生徒もいたり、知っている内容で満足しなかった生徒もいましたが、多くの中学校でこのような授業が広まってきていることに嬉しくも思いました。 しかし、その多くが「以前より詳しく理解できた」「改めて考えるきっかけになった」と続いており、高校というタイミングで知識を整理し直すことの意義も感じました。 生徒の感想(掲載許可あり) 生徒からの授業の感想を紹介します。 ・性に関して恥ずかしいとかの概念をなくして、みんなが自分のことだと思って学んでいくべきだなとおもった。 ・中学でも性に関する講座は受けたがその時よりも詳しく、いつも聞かない内容だった ・同じくらいの年齢をよそった人からのDMが印象深かった ・とてもわかりやすい説明だった。本当にある身近な例を使ってくれたから想像がしやすかった。 ・自分が中学で受けたことがある内容でしたが、初めて知ることや役に立つ知識を学ぶことができた。 ・嫌なことはきちんと嫌と言えるような人になる ・自分の知らない知識を知ることで相手にも良いし自分にも良いのでいろいろしれてよかった おわりに 高校生活が始まると、恋愛やSNS、人間関係はこれまで以上に身近に複雑になって行くことが多いです。 だからこそ、高校入学後の早い段階で、「自分も相手も大切にする」という共通の価値観を育むことが重要です。 今回の授業が、生徒たちにとって困ったときに立ち止まって考えられる「共通の土台」となり、これから築いていく人間関係の支えになれば嬉しく思います。 〈授業後に素敵な保健だよりが配布されました♪〉

【登壇報告】児童養護施設職員向け性教育研修を実施しました!

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【登壇報告】児童養護施設職員向け性教育研修を実施しました!

先日、都内の児童養護施設にて、保育士・心理士・児童指導員など、子どもたちを支える職員の皆さまを対象とした性教育研修を実施しました。 児童養護施設で暮らす子どもたちは、それぞれ異なる生育歴や経験を抱えています。そのため、性に関する悩みや困りごとも、一人ひとり背景が異なります。 今回の研修では、事前アンケートで職員の皆さまに現場の疑問や悩みを集め、その内容を反映した講義と、実際のケースをもとにしたグループワークを中心に進めました。 「子どもから突然、性の相談を受けたらどう返せばいいのか」 「性的な話題を避けずに、安心して相談できる関係をどう作るのか」 知識を学ぶだけではなく、現場ですぐに実践できる対応について、参加者同士で考えながら学ぶ時間となりました。   10代から寄せられる相談は、妊娠や性感染症だけではない 研修では、セイシルに実際に寄せられた10代の相談についても紹介しました。 2024年4月から2025年3月までの1年間に、10歳から19歳までの若者から寄せられた相談は1,295件。 性の悩みは、ある日突然始まるものではありません。自分のからだへの戸惑い、友人との会話、SNSで目にした情報、好きな人との関係など、日常生活のさまざまな場面から徐々に生まれます。 だからこそ、困りごとが大きくなってから対応するのではなく、日頃から子どもが疑問を口にできる関係をつくっておくことが重要です。   「正しい答え」よりも「安心して話せる大人」であること 研修の中で特に多くの職員の方が印象に残ったと回答したのは、知識そのものだけではなく、子どもの話を聞くときの姿勢でした。 大切にしたいのは、次のような関わりです。 子どもの話を、まず受け止める 否定したり、決めつけたりしない 急いで結論や正解を出そうとしない 「話してくれてありがとう」と伝える 子どもの今の気持ちを尊重し、一緒に考える 必要に応じて、専門機関やほかの支援者につなぐ 大人がすぐに完璧な答えを返せなくても構いません。 「それは大変だったね」「今、どんなことに困っている?」「話してくれてありがとう」「一緒に考えてもいい?」 こうした言葉によって、子どもは「この人にはまた話してもいい」と感じることができるかもしれません。 日頃の関わりの中で使える接し方について、とても熱心に考えていただきました。 ケーススタディで考える「性の悩み相談の対応」 今回の研修では、子どもからの相談場面を想定した2つのケーススタディを行いました。コラムではそのうちの1つを紹介します。 グループごとに、普段関わる子どもの年代を想定しながら、15分ほど対応を検討しました。 「最初にどんな言葉を返すか」「どこまで本人に質問してよいのか」「本人が何に困っているのかを、どう確認するか」「一人の職員で抱えず、どのようにチームで支援するか」 参加者それぞれの職種や経験によって、注目する点や言葉の選び方は異なります。 自分では思いつかなかった視点をほかの職員から得られることも、グループワークの大きな意義です。 最後に、グループで考えた回答方法を発表で全体に共有しました。 行動を叱る前に、その背景や関係性を見る 事前アンケートで回収した質問にも、研修当日にセイシルスタッフから答えました。 「自分の性を引き換えにして、相手の関心を得ようとしているように見える子どもに、何を伝えればよいか」という質問が寄せられ、行動だけを見て叱ったり、「自分を大切にしなさい」と伝えたりするだけでは、子どもの心に届かないことがあることを紹介しました。 「安心したかった?」「好きでいてほしかった?」「断ったら嫌われそうだった?」 子どもの行動の背景には、愛情を確かめたい気持ちや自己肯定感の低さ、過去の被害経験、境界線について学ぶ機会の不足などがあるかもしれません。 そのうえで、 「あなたの体は、好かれるための交換条件ではない」「あなたの『嫌』を聞いてくれる人を選んでいい」「困ったときは、罰するより先に助ける」 と伝えることが大切です。 禁止や叱責だけを強く伝えると、何か起きたときに「怒られるから言えない」と、かえって相談しにくくなる場合があります。 性に興味を持つこと自体を責めるのではなく、安全を守るための知識と、本人の価値や尊厳を同時に伝えていく必要があります。    参加者の感想 研修後には、次のような感想が寄せられました。   「子どもの話をまず受け止めることの大切さを改めて実感しました。」 「ケーススタディが実践的で、現場ですぐに活かせる内容でした。」 「性教育は“生きる力”につながる支援だという考え方に、とても共感しました。」 「職員同士で性について話し合う貴重な機会になりました。」 「子どもが安心して相談できる大人でありたいと思いました。」 「『相談してくれてありがとう』という言葉を大切にしたいです。」 「セイシルを子どもたちにも紹介し、日々の支援に活かしていきたいと思います。」 「知識だけでなく、関わり方そのものを学ぶことができました。」 「子どもを被害者にも加害者にもさせないために、まず大人が学び続ける必要があると感じました。」   〈研修会場の後方で性に関する書籍を紹介しました〉 性の支援は、子どもの尊厳を守る支援 今回の研修で最後に共有したのは、 性とは「生きる力」そのもの性の支援は、尊厳の支援である性を「避けるテーマ」ではなく、「支援の一部」にする というメッセージです。 子どもから性について相談されたとき、大人がすべての正解を知っている必要はありません。 まず受け止めること。分からないことは一緒に調べること。一人で抱えず、チームや専門家と考えること。そして、子どもが再び相談できる関係を守ること。 大人が学び続け、性について安心して話せる環境をつくることは、子どもを被害から守るだけでなく、自分と相手のからだや気持ちを、尊重する力を育てることにつながります。 セイシルはこれからも、教育・福祉の現場で子どもたちを支える皆さまとともに、誰もが性のモヤモヤを安心して話せる環境づくりに取り組んでいきます。  

海外の性教育は日本とどう違う?国別に授業内容・教え方・学ぶ時期を比較

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海外の性教育は日本とどう違う?国別に授業内容・教え方・学ぶ時期を比較

海外の性教育は国や地域で異なる  UNESCOなどの世界調査では、調査対象155か国のうち85%に性教育に関する政策や法律があるとされていますが、その内容は国や地域によって大きく異なります。  たとえば、オランダやスウェーデンでは、性や人間関係、同意、多様性などを学校教育の中で扱う制度があります。  イングランドでは、小学校で「人間関係教育」、中等学校で「人間関係・性教育」が必修です。  一方、アメリカは州や学区によって内容が大きく異なり、全国で同じ性教育が行われているわけではありません。  台湾は、性教育そのものだけでなく、ジェンダー平等や学校での安全と結び付けて教えている点が特徴です。  日本でも、体の発育、思春期の変化、妊娠、性感染症、性暴力防止などは学校で扱われています。  ただし「性教育」という独立した教科があるわけではなく、保健体育、理科、家庭科、道徳、特別活動、「生命(いのち)の安全教育」※などに分かれて学ぶ形です。 参考:生命(いのち)の安全教育とは?   日本と海外の性教育 比較表  まずは、日本と海外の性教育について、「いつから学ぶのか」「何を学ぶのか」「どう教えるのか」「授業時間はどう見えるのか」という同じ項目で比べてみましょう。  表を見ると、国によって違うのは「性教育をするかどうか」だけではなく、どの教科で扱うのか、どの年齢から始めるのか、同意や人間関係まで含めるのか、といった設計そのものだと分かります。 国別に見る海外の性教育  海外の性教育は、国ごとの法律やカリキュラムだけでなく、日本と同じように学校の方針や教師の専門性による違いがあります。  各国の公的な制度と具体的な実践例を分けながら、海外の性教育の特徴をより詳しく見ていきます。 オランダ:低年齢から「境界線」と「尊重」を学ぶ  オランダでは、学校で性や性的多様性について教えることが求められています。  子どもたちは、性的な違いや多様性を尊重すること、性暴力から自分を守ることなどを学びます。  低年齢の授業で中心になるのは、性交や避妊の詳しい説明ではなく、友達との関わり方、自分と相手の気持ち、体の境界線、「いや」と言われたら尊重することなどから始まります。  日本との差として大きいのは、体の仕組みだけでなく、セクシュアリティや多様性への尊重も学習目標に含まれている点です。 スウェーデン:性教育の中心に「同意」と「人間関係」がある  スウェーデンでは、1955年に学校での性教育が義務化されました。  2022年には、カリキュラム上の名称が「セクシュアリティ、同意、人間関係」に変わりました※。  名前からも分かるように、体や生殖だけでなく、同意、人間関係、ジェンダー平等、社会の中の規範なども扱います。  授業は1つの教科だけで完結するのではなく、複数の教科で繰り返し扱う設計です。  また、若者向けのユースクリニックでは、避妊、妊娠検査、性感染症、カウンセリングなどの相談に対応していて、学校で学んだ知識を、必要な支援につなげやすい仕組みがある点も特徴です。   イングランド:小学校は「人間関係」、中等学校で「性」へ広げる  イングランドでは、小学校で「人間関係教育」、中等学校で「人間関係・性教育」が必修です。  小学校では家族、友情、尊重、プライバシー、オンライン上の安全などを学び、中等学校では避妊、性感染症、性的同意、性的な圧力への対応などへ内容が広がります。  日本との差は、小学校の段階から「人間関係」を必修として扱う点です。 アメリカ:国ではなく州・地域で大きく違う  アメリカには、全国で統一された性教育カリキュラムはありません。  性教育を行うか、どの内容を必修にするか、医学的に正確な情報を求めるかは、州や地域によって異なります。  避妊や性感染症、性的同意、性的指向・性自認を扱う地域もあれば、禁欲を中心に教える地域もあります。  2025年時点で、36州とワシントンD.C.が性教育の実施を求めています※が、すべての州で同じ内容が教えられているわけではありません。  国全体で見たときの地域差が大きいので、「アメリカではこう教えている」と一言でまとめるのは特に難しい国です。 台湾:ジェンダー平等と学校の安全に結び付いている  台湾では、「ジェンダー平等教育法」によって、学校でジェンダー平等教育を行うことが定められています。  小学校・中学校では、毎学期4時間以上の関連授業や活動を行うことになっています。  内容には、ジェンダー平等、差別の防止、性自認や性的指向への尊重、学校での性暴力・セクハラ・いじめの防止などが含まれます。  日本との差は、性教育に近い内容が、ジェンダー平等や学校の安全を守る制度と結び付いている点です。 日本の性教育はどうなっている?  日本では、「性教育」という独立した教科はありません。  文部科学省は、児童生徒が性について正しく理解し、適切に行動できるように、保健体育を中心に、理科、家庭科、道徳、特別活動など学校教育全体で指導する方針を示しています。  小学校では、体の発育や思春期の変化、初経、精通、発毛などを学びます。  中学校では、生殖機能の成熟、受精、妊娠、性感染症などを扱います。  ただし、中学校の学習指導要領では、妊娠の経過は扱わないとされています。  これは「はどめ規定」と呼ばれることがあります。  参考:はどめ規定とは?  また、日本では「生命(いのち)の安全教育」も進められています。  これは、子どもたちが性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないために、自分と相手の心や体を大切にすることを学ぶ教育です。  教材は幼児期から高校、大学、一般向けまで用意されていますが、学校や地域の状況に応じて使われるので、どの学年で、どれくらいの時間をかけて、どの内容まで扱うかは学校によって差が出ます。   国際セクシュアリティ教育ガイダンスは「比較のものさし」  海外の性教育を比べるときの参考になるのが、UNESCOなどがまとめた「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」です。  このガイダンスは、各国に同じ授業を義務づけるものではなく、年齢や発達段階に応じて、どのような内容を学ぶとよいかを示した国際的な参考資料です。  体のことだけでなく、人間関係、同意、安全、健康、ジェンダー、人権なども学習内容に含まれます。  つまり、海外の性教育を見るときは、「制度があるか」だけでなく、「実際に何を、どの年齢で、どのように教えているか」を見る必要があります。 参考:国際セクシュアリティ教育ガイダンスの活用方法   日本と海外の違いは「早さ」よりも「学び方」にある  海外の性教育は、日本より早く始まる国もありますが、低年齢から大人向けの内容を教えているわけではありません。  小さい子どもには、まず「自分の体は大切」「嫌なことは嫌と言っていい」「相手が嫌がることはしない」「困ったら信頼できる大人に話す」といった内容から始めます。  日本でも、体の発達、妊娠、性感染症、性暴力防止などは学校で学びます。  違いが出やすいのは、それらがどの学年で、どのくらいの時間をかけて、どのテーマと結び付けて教えられるかです。  海外の事例を見るときは、「どの国が進んでいるか」ではなく、「年齢に合った内容を、続けて学べるか」を見ると分かりやすくなります。